議会視察レポート
国・県・市の連携で守る

治水施設
現場視察

2026年3月18日
三郷市内 4施設
三郷市議会 全議員

三郷排水機場、大場川上流排水機場、新大場川水門、
新和地下調整池 — 4施設を巡る治水の最前線。

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視察の概要

視察日
2026年3月18日
参加人数
三郷市議会 全議員
視察先
三郷市内 4施設
視察テーマ
総合治水対策・流域治水

視察スケジュール

13:15
集合・出発
公用バス駐車場(庁舎西側)に集合。市職員紹介、行程説明。
13:25 - 14:10
三郷排水機場(国のポンプ場)
清水副市長あいさつ、小林係長(河川課)より治水対策の概要説明、藤原所長(江戸川河川事務所三郷出張所)より施設説明。所要45分。
14:10
大場川伏越し部
車中から見学。大場川が三郷放水路の地下をくぐる構造を確認。
14:20 - 14:45
大場川上流排水機場(県のポンプ場)
埼玉県の施設を三郷市が操作委託。毎秒40トンのポンプと増設スペースを確認。所要25分。
15:05 - 15:20
新大場川水門
中川との合流地点で逆流を防止。干潮時の事前閉門運用を学ぶ。所要15分。
16:05 - 16:35
新和調整池
八丁堀公園地下の巨大調整池。70本の柱が支える「地下神殿」を体感。所要30分。
16:40
到着・解散
公用バス駐車場(庁舎西側)にて解散。

視察施設マップ

INSPECTION DATA

視察した治水施設

0
施設
視察箇所数
国・県・市の施設を網羅
0
トン/秒
三郷排水機場の排水力
25mプールを約1秒で空に
0
トン/秒
大場川上流排水機場
増設スペース確保済み
0
杯分
新和調整池(25mプール換算)
約13,500㎥の貯水量
WHY THIS INSPECTION

なぜこの視察を行ったのか

01

議会全体での知見共有

令和6年7月の改選後、3名の新議員が加入

  • 三郷市内・近隣の公共施設を実地見学
  • 地域の諸課題に対応するための知見を深める
  • 議会全体での調査研究活動の一環
02

三郷市の治水課題を理解する

「お盆のような窪地」に位置する地形的特徴

  • 中川・江戸川・三郷放水路による複雑な河川環境
  • 満潮時の東京湾からの逆流リスク
  • 総合治水対策の中核施設を直接確認
03

災害対応の最前線を学ぶ

洪水時の72時間連続稼働体制

  • 令和5年6月の停止事故とその対策
  • 「不操作は絶対にあってはならない」という運用方針
  • 治水・利水・水質浄化の3つの役割
スクロールして続きを見る

三郷市の地形的特徴

河川に囲まれた窪地
  • 東側江戸川
  • 西側中川
  • 中央三郷放水路
  • その他大場川・第二大場川
  • 地形「お盆のような窪地」
  • 洪水時水位2階建て屋根の高さ
総合治水対策の3本柱
  • 「流す」対策排水ポンプ場の建設・増強
  • 「ためる」対策校庭・公園への一時貯留
  • 「備える」対策ハザードマップ・避難準備
  • 条例開発時の雨水貯留義務
  • 補助制度家庭用雨水浸透施設
  • 策定時期昭和55年頃

三郷排水機場の概要

三郷排水機場 ポンプ室

国土交通省管理

関東地方整備局 江戸川河川事務所 三郷出張所が管理。平日は職員常駐、夜間・休日は無人。

約50年の歴史

昭和47年工事着手、昭和54年に100トン体制で暫定運用開始、平成8年に200トン体制で本格運用。

毎秒200トンの排水力

5台のポンプ(合計200トン/秒)で、中川の水を最大6m高い江戸川へ押し上げて排水。

直径4.6mの羽根車

重油ディーゼルエンジンで駆動。地下の5枚羽根車が毎分70回転し水を持ち上げる。

排水機場の3つの役割

1

治水 — 中川の洪水調整

三郷水門を開けて中川の洪水を三郷放水路に取り込み、ポンプの力で江戸川に排水。中川・綾瀬川流域の氾濫を抑える中核施設です。

年間稼働: 2〜3回程度(令和5年度1回、令和6年度1回)

2

利水 — 都市用水の供給

渇水時に中川の水を江戸川に送り、三郷浄水場・金町浄水場の取水源を補完。令和7年度は延べ7日間稼働し、東京ドーム約2杯分の水を供給。

塩分濃度200ppm以上の時は送水不可

3

水質浄化(過去)

かつて江戸川の水を中川に送り水質を改善していましたが、中川が環境基準をクリアしたため約20年前に終了。

現在は実施していない

洪水時の運用体制

操作開始基準
中川水位が操作水位に達した時
到達見込み1時間前に職員+操作委託会社が現地集合し点検実施
操作方法
PC1台で全制御
ポンプ稼働/停止、水門開閉をリアルタイム監視しながら操作
三郷水門
全開まで約30分
開門速度1分間に約30cm。ポンプ稼働前に事前全開が必要
人員体制
職員2名交代制+委託5〜6名
平常時4名。洪水時は江戸川河川事務所から応援派遣
連続稼働
1回平均72時間(3日間)
その間、職員はほぼ不眠で常駐。24時間体制で除塵作業も実施
運用方針
「不操作は絶対にあってはならない」
大潮満潮時は夜間も水位監視を継続。降雨時は事前集合を徹底

大場川上流排水機場

大場川上流排水機場

埼玉県の施設・市が操作

埼玉県が整備した施設を三郷市が操作委託を受けて運用。河川課の職員が24時間365日水位を監視しています。

毎秒40トンのポンプ

大場川の水を江戸川に排水し、水位を低く保つことで地域からの雨水の流れ込みを促進。広範囲の浸水被害を軽減します。

増強の余地あり

将来を見越して設計されており、ポンプの増設スペースが確保済み。下流排水機場の増強(令和3年度末)に続き、県と協議を進行中。

新大場川水門

新大場川水門

中川との合流地点

大場川が中川に合流する八潮市付近に位置。洪水時にゲートを閉めて中川からの逆流を防ぎ、大場川の水位を低く保ちます。

事前閉門による治水効果

台風接近時、干潮タイミングで事前に閉門。大場川全体を「調整池」として活用し、ピークカットを実現。国交省と連携して運用。

マリーナとの調整

周辺にはアリーナ・マリーナがあり、船舶の出入りとの調整が必要。閉門時はアリーナと事前に連携しています。

新和地下調整池 — 三郷の「地下神殿」

新和地下調整池

70本の柱が支える地下空間

三郷中央二丁目八丁堀公園の地下に広がる調整池。コンクリート柱70本が地上の公園を支え、首都圏外郭放水路の調圧水槽に似た幻想的な空間です。

25mプール27杯分の貯水力

約13,500㎥の貯水容量。地域に降った雨水をオリフィスで絞り、徐々に地下に流し込むことで河川への急激な流入を防ぎます(ピークカット)。

URが整備、市が維持管理

開発時の雨水貯留条例に基づきURが整備。重要施設として市に移管され、ポンプによる排水や監視カメラによる流入状況の確認を行っています。

2026年3月から一般公開開始

3月28日に親子見学会(抽選)を皮切りに、市民への一般公開を開始。ララポート三郷での展示など、治水対策のPRにも活用されています。

令和5年6月の停止事故と対策

台風時に5台全台が停止

中川が過去最大級の雨量を記録。5台全台を稼働させたが、エンジン冷却用の河川水をろ過するフィルターが洪水のゴミで詰まり、安全装置が作動してエンジンが停止。

原因

河川水冷却のフィルターが洪水で流れてきたゴミで詰まり、安全装置が作動

対策

河川水による冷却から水道水による冷却システムに切り替え

現状

対策完了済み。水道水冷却により、洪水のゴミによる停止リスクを解消

Q&A SESSION

質疑応答

視察当日に行われた質疑の一部をご紹介

Q

三郷市のどの地域が排水機場の恩恵を受けていますか?

A

三郷排水機場は中川流域全体の治水を担っており、三郷市だけでなく中川・綾瀬川流域の広範囲にわたる地域の洪水リスクを低減しています。

Q

洪水時にポンプが全台停止するリスクはありませんか?

A

令和5年6月に冷却系統の問題で停止事故が発生しましたが、河川水冷却から水道水冷却に切り替える対策を完了済みです。また、定期点検を台風シーズンは毎月実施しています。

Q

排水機場の見学は可能ですか?

A

小学校の社会科見学を受け入れており、一般の方も予約制で見学可能です。操作席での体験や三郷水門の操作体験もできます。令和6年度は信和小・早稲田小・八木郷小が見学しました。

Q

三郷放水路と大場川の関係は?

A

見た目にはつながっているように見えますが、大場川は三郷放水路の地下をくぐる「伏越(ふせこし)」構造で、直接合流していません。大場川上流・下流排水機場の増強により、近年は合流運用に至っていません。

Q

三郷排水機場はどこにありますか?

A

三郷市内、中川と江戸川を結ぶ三郷放水路沿いに位置しています。国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所 三郷出張所が管理しています。

Q

排水機場の燃料は何ですか?

A

重油を燃料とするディーゼルエンジンで5台のポンプを駆動しています。洪水時には大量の重油を消費するため、燃料の備蓄管理も重要な業務です。

Q

総合治水対策の「ためる」施設は三郷市にいくつありますか?

A

学校の校庭、繁多公園、公共施設の駐車場など複数の場所に一時貯留機能が設けられています。また、一定規模以上の開発には雨水貯留を義務付ける条例も運用されています。

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