自主財源の厚みを示す財政力指数が0.64と、三郷市(0.90)より厳しい条件にある兵庫県川西市は、370事業すべての見直し、市立病院の民間移管、計画期間を市長任期に合わせた8年計画など、「何をやめ、何に集中するか」を決められる行政経営を実践しています。予算規模の縮小が現実になりつつある三郷市にとって、数年先を行く自治体の実際を現地で確かめてきました。
まず結論から。以下は川西市からの助言ではありません。川西市の実践を現地で見た私たち創政MISATOが、三郷市に置き換えて考えたい7つの論点です。
以下、それぞれの根拠となった川西市の実践を報告します。
兵庫県の東端に位置し、東側は大阪府池田市と隣接。大阪・梅田まで電車20〜30分のベッドタウンで、府県境には一級河川・猪名川が流れます。人口規模は三郷市に近いものの、地形や財政の条件は対照的です。
| 川西市 | 三郷市 | |
|---|---|---|
| 人口 | 約15万2千人 | 約14万2千人 |
| 地形 | 起伏が多く、北へ行くほど山地。南北に細長い | 関東平野の一部でほぼ平坦 |
| 都心アクセス | 大阪・梅田まで電車20〜30分 | 都心まで電車・高速道路でアクセス |
| 経常収支比率 | 98.6% | 100.7% |
| 財政力指数 | 0.64 | 0.90 |
| 将来負担比率 | 71.6% | 51.2% |
| 人口見通し | 推計では12万人まで減少の見込み | 現状は微増傾向 |
経常収支比率・財政力指数・将来負担比率は、いずれも令和6年度決算の数値です(出典:兵庫県公表「財政状況資料集(令和6年度)川西市」、埼玉県公表「財政状況資料集(令和6年度)三郷市」)。人口は川西市が市公表の推計人口・令和8年6月末現在151,868人、三郷市が市公表の年齢別人口・令和8年6月1日現在141,804人。両市は硬直度の指標が近い一方、自主財源の厚みを示す財政力指数と、将来の負担を示す将来負担比率では川西市の方が厳しい条件に置かれています。議場では本会議のライブ配信・録画を実施し、従来1週間かけていた編集をやめ、翌営業日午後には公開する運用も紹介されました。
説明は、率直な前置きから始まりました。財政状況の指標で見れば三郷市の方が良い状況にある、自分たちは厳しい条件の中でどうしてきたかを話したい——そういう趣旨です。飾らない実例と数字に基づく、率直な情報提供をいただきました。
説明の中では、「経常収支比率が97%という中で」新しいことに投下できる財源が1割にも満たないこと、予算規模が縮小するということは何かをやめなければならず、これまでどおりでは予算編成ができないことが語られました。この認識は、前年度比マイナス予算が20年ぶりとなった三郷市の現状にそのまま重なります。
この「97%」は視察当日の説明で述べられた数値です。兵庫県公表の財政状況資料集では、川西市の経常収支比率は令和3年度94.8%、令和4年度98.5%、令和5年度100.0%、令和6年度98.6%で推移しており、いずれの年度とも一致しません。本ページでは発言をそのまま記載したうえで、比較表には令和6年度決算の確定値を用いています。
川西市の行政経営基本方針は、第6次総合計画と完全に年度を合わせた令和6〜13年度の8年間。従来の「前期5年+後期5年」の10年計画を改め、市長任期4年の倍数に揃えました。市長が任期途中で前計画を引きずる「やりにくさ」を解消し、民意を受けた市長の考えを計画に反映できるようにするためです。5年区切りでは技術や社会状況の変化に追随できない、という実務上の理由もあります。前期・後期に分けず8年間を毎年ローリングし、4年目(市長選のタイミング)に見直す設計。教育・子育てなどの個別計画も同じ8年スパンに揃えています。
「近隣と人口を奪い合うことは考えていない。
住んでいる方の満足度を上げる」
推計人口が12万人まで減少する見通しを直視したうえでの、明確な方針転換です。
全国の先進自治体に学び、三郷市の政策に活かします。他の視察レポートもご覧ください。