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視察報告

枚方市視察報告
議会改革を回し続ける「仕組みと体制」

― 通年議会・オンライン議会・議会広報 ―

大阪府枚方市議会は、会期を1年とする通年議会オンラインによる委員会・一般質問、そして職員が自ら手がけるSNS・動画発信で知られています。現地で確かめて印象に残ったのは、個々の制度よりも、それを生み出し続けている組織のかたちでした。会派を超えて改革を議論する場と、広報に専任のチームを置く体制。三郷市議会でも議会改革を進めたい私たちにとって、最も具体的な手がかりとなりました。

令和8年8月5日(水) 大阪府枚方市議会 創政MISATO 会派視察
TAKEAWAYS

結論 ― 三郷で考えたい7つのこと

まず結論から。以下は枚方市からの助言ではありません。枚方市議会の実践を現地で見た私たち創政MISATOが、三郷市に置き換えて考えたい7つの論点です。

それぞれの根拠となった枚方市議会の実践を、以下で報告します。

ABOUT HIRAKATA

枚方市とは ― 大阪と京都の間に位置する中核市

大阪府の北東部、大阪市と京都市のちょうど中間に位置し、市の西側を淀川が流れます。七夕伝説にゆかりのある地で、市内には天の川が流れ、隣接する交野市とともにその物語をまちのPRに生かしています。秋の菊人形も知られ、市内の小中学校で育てられた菊が市役所周辺を彩ります。

枚方市三郷市
人口約39万人約14万2千人
市制中核市(平成26年4月移行)一般市
位置大阪市と京都市の中間東京都心から20km圏
会期通年議会(平成27年5月〜)年4回の定例会
議会広報SNS・動画を職員が内製議会だより・インターネット中継

人口は住民基本台帳に基づく概数(枚方市:令和7年時点 約39万2千人/三郷市:令和8年6月時点 約14万2千人)。その他は視察時の説明に基づきます。

ORGANIZATION

改革を支える2つの組織

通年議会もオンライン議会も、それ自体は制度です。制度が次々と実現していく背景には、それを議論する場と、実行する体制がありました。

① 議会改革懇話会 ― 会派を超えて話し合う任意の場

議長の諮問を受ける形で、2年に1度設置される。各会派から1人ずつが参加し、議会運営に関する課題を持ち寄って議論する。法律に基づく機関ではなく、規則で細かく定められてもいない任意の場だが、ここで合意が得られた案件は、所定の手続きを経て速やかに実施されていく。通年議会の検討も、その前身である議会改革調査特別委員会(平成23年設置)から始まっている。

私たちが着目した点

会派の枠を越えて改革を話し合える場が、常設ではなく「2年に1度」という形で繰り返し立ち上がること。特別な権限を持たない場でありながら、そこでの合意が実際の制度改正につながっている点に、改革を続けられる理由がありました。

② 議会広報課 ― 広報に専任の職員を置く

議会事務局には議会広報課が置かれ、そのうち広報係を20代・30代の職員4人が担当しています。議会運営を担う部署とは別に、広報に人を置いた体制です。公式InstagramとYouTubeの企画・撮影・編集、一般質問の収録動画の発信までを、外注ではなく職員が自ら手がけています。ショート動画の制作や、視察に訪れた議員との記念撮影・投稿もその一つです。

「かなり独自路線でやっている」との説明のとおり、同様の体制を持つ議会は多くありません。負担が小さくないことも率直に語られました。

枚方市議会の会議室で説明を受ける創政MISATOの議員
枚方市議会にて。通年議会とオンライン議会の運営について説明を受けました
YEAR-ROUND SESSION

通年議会 ― 会期を1年とする

地方自治法上、議会を招集する権限は市長にあります。通年議会は、会期を1年とすることで議会が常に開かれた状態を保ち、議長の判断で速やかに本会議を開けるようにする仕組みです。

1年の流れ

導入までの経緯

導入の効果

最も大きな変化は、地方自治法第179条に基づく専決処分が行われなくなったことです。導入前は補正予算や入札に伴う条例改正が専決処分で処理されることがありましたが、いつでも議会を開ける状態になったことで、議会の議決を経る運用が定着しました。執行部側にも「議案を整えて議会に諮る」という運びが根づいてきたとの説明がありました。

課題と、その手当て

通年議会には、一事不再理(同一会期中に議決した事件と同一の事件は提出できない)という論点があります。会期が1年になると、1年間は再提出できないことになりかねません。枚方市議会では、先行して導入した議会の例を参考に会議規則を改正し、「同一会期中」を「同一議会期間中」に改めることで、年4回の定例会と同じ扱いを維持しています。会議日数の増加による事務量の懸念も、実際には数日程度の増にとどまったとのことでした。

年度末の法改正への対応

毎年3月末には、国の法改正に伴う市税条例の改正が生じます。市長への専決処分に委ねる自治体もある中で、枚方市議会は「国が決めたことだからといって議会に諮らないのは違う」という議論を経て、現在の運用を維持しました。3月31日、参議院での可決を確認してから議会運営委員会を開き、その日のうちに本会議で議決する——今年は午後5時5分ごろの可決を受け、5時31分から議会運営委員会、5時40分から本会議という運びだったと伺いました。

DIGITAL

議会のDX ― オンライン・ペーパーレス・発信

CASE 1
オンラインによる委員会・一般質問
令和3〜4年度の議会改革懇話会での協議を経て導入。一般質問は、やむを得ない事情で欠席する場合にオンラインを選べる(強制ではない)。答弁調整の運用がある代表質問は対象外としている。会議システムは市が全庁的に導入しているWeb会議システムをそのまま使用し、議員には1人1台のタブレットが配備されている。導入時は前日にリハーサルを行い、当日は問題なく実施できたとのこと。
CASE 2
通信断への備え
通信が切れた場合は委員長の職務代理を立て、事務局が復旧を図る。復旧しない場合は質疑を一旦中断し、別の委員の質疑を先に行うという段取りを、あらかじめ決めてある。
CASE 3
傍聴人への配慮
オンライン出席者が会議全体の映像を見る際、傍聴人が映り込む可能性がある。会議の冒頭に委員長から「この映像は録画・公開するものではない」旨を発言して確認している。
CASE 4
ペーパーレス
タブレットの導入費用は合計約507万円(令和2年に38台、令和3年に4台)。運用は月額約7万円で、文書共有・ペーパーレス管理システム、議会管理システム・通信回線、プロバイダの費用を含む。
CASE 5
SNS・動画の内製
公式InstagramとYouTubeを運用。一般質問の収録動画を議員ごとに編集して発信し、そこから本編の視聴につなげる導線をつくっている。企画も台本も職員が担い、プロに外注していない
CASE 6
政務活動費の領収書Web公開
公開を前提とすることで議員自身の適正な執行意識が高まり、情報公開請求も減少。一方で、黒塗り処理など事務局の負担は増加し、領収書だけでは支出の目的が伝わりにくい面もあるとの説明があった。
Q&A

質疑応答から

Q. オンライン会議システムの選定と費用は。使える議員・使えない議員への対応は?(日髙議員)
A. 市が全庁的に導入している仕組みを議会でも使わせてもらう形で、議会として特別な調達はしていない。議員には1人1台のタブレットが配備されており、自身のPCで参加することもできる。
Q. 通年議会を導入するとき、議長の役割や会派間の調整の難しさは?(髙橋議員)
A. 会派を超えた合意が必要になるため、そこが最も難しい。枚方市議会では、議会改革調査特別委員会・議会改革懇話会という話し合いの場があったことが大きかった。
Q. 専決処分がなくなったことで、執行部側から出た声は?(鈴木議員)
A. すぐに議会を開ける状態になったため、「先に議案を整えて議会に諮る」という運びが執行部側にも定着してきた。
Q. 議会が変わると、庁舎全体の雰囲気も変わるのでは?(鈴木議員)
A. 広報活動が活発になったこともあり、市民からの反応は良くなったと感じている。
Q. SNS運用にはどれくらいの労力がかかっているか?(日髙議員)
A. 記事作成も動画編集も職員が行っており、量としての負担は小さくない。ショート動画も企画から手がけている。広報担当は20代・30代の4人。
Q. 国の交付金など、急な財源への対応はどうなるか(佐藤会長)
A. 通年議会でも、施策の内容が固まらないうちに議会を開くことはしない。ただし固まり次第すぐに緊急議会を開けるため、そこからの動きは速い。

質疑応答の内容は、視察時の聞き取りに基づく要約です。

枚方市議会議場での創政MISATO所属議員
枚方市議会 議場にて

視察概要・本ページについて

  • 日時:令和8年(2026年)8月5日(水)/視察先:大阪府枚方市議会/調査事項:通年議会及びオンラインによる議会運営について
  • 参加:創政MISATO所属議員。枚方市側は議会事務局 議会広報課の皆様にご対応いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
  • 本ページは視察時の説明の聞き取りに基づく報告です。人口等の基礎数値は公表資料で確認していますが、費用や運用に関する数値の一部は聞き取りベースのため、確認の結果、更新することがあります。
  • 本ページでは、関係者の氏名は記載せず、役職・立場による表記としています。
  • 最終更新:令和8年(2026年)8月

創政MISATOの視察活動

全国の先進自治体に学び、三郷市の政策に活かします。他の視察レポートもご覧ください。