大阪府枚方市議会は、会期を1年とする通年議会、オンラインによる委員会・一般質問、そして職員が自ら手がけるSNS・動画発信で知られています。現地で確かめて印象に残ったのは、個々の制度よりも、それを生み出し続けている組織のかたちでした。会派を超えて改革を議論する場と、広報に専任のチームを置く体制。三郷市議会でも議会改革を進めたい私たちにとって、最も具体的な手がかりとなりました。
まず結論から。以下は枚方市からの助言ではありません。枚方市議会の実践を現地で見た私たち創政MISATOが、三郷市に置き換えて考えたい7つの論点です。
それぞれの根拠となった枚方市議会の実践を、以下で報告します。
大阪府の北東部、大阪市と京都市のちょうど中間に位置し、市の西側を淀川が流れます。七夕伝説にゆかりのある地で、市内には天の川が流れ、隣接する交野市とともにその物語をまちのPRに生かしています。秋の菊人形も知られ、市内の小中学校で育てられた菊が市役所周辺を彩ります。
| 枚方市 | 三郷市 | |
|---|---|---|
| 人口 | 約39万人 | 約14万2千人 |
| 市制 | 中核市(平成26年4月移行) | 一般市 |
| 位置 | 大阪市と京都市の中間 | 東京都心から20km圏 |
| 会期 | 通年議会(平成27年5月〜) | 年4回の定例会 |
| 議会広報 | SNS・動画を職員が内製 | 議会だより・インターネット中継 |
人口は住民基本台帳に基づく概数(枚方市:令和7年時点 約39万2千人/三郷市:令和8年6月時点 約14万2千人)。その他は視察時の説明に基づきます。
通年議会もオンライン議会も、それ自体は制度です。制度が次々と実現していく背景には、それを議論する場と、実行する体制がありました。
議長の諮問を受ける形で、2年に1度設置される。各会派から1人ずつが参加し、議会運営に関する課題を持ち寄って議論する。法律に基づく機関ではなく、規則で細かく定められてもいない任意の場だが、ここで合意が得られた案件は、所定の手続きを経て速やかに実施されていく。通年議会の検討も、その前身である議会改革調査特別委員会(平成23年設置)から始まっている。
会派の枠を越えて改革を話し合える場が、常設ではなく「2年に1度」という形で繰り返し立ち上がること。特別な権限を持たない場でありながら、そこでの合意が実際の制度改正につながっている点に、改革を続けられる理由がありました。
議会事務局には議会広報課が置かれ、そのうち広報係を20代・30代の職員4人が担当しています。議会運営を担う部署とは別に、広報に人を置いた体制です。公式InstagramとYouTubeの企画・撮影・編集、一般質問の収録動画の発信までを、外注ではなく職員が自ら手がけています。ショート動画の制作や、視察に訪れた議員との記念撮影・投稿もその一つです。
「かなり独自路線でやっている」との説明のとおり、同様の体制を持つ議会は多くありません。負担が小さくないことも率直に語られました。
地方自治法上、議会を招集する権限は市長にあります。通年議会は、会期を1年とすることで議会が常に開かれた状態を保ち、議長の判断で速やかに本会議を開けるようにする仕組みです。
最も大きな変化は、地方自治法第179条に基づく専決処分が行われなくなったことです。導入前は補正予算や入札に伴う条例改正が専決処分で処理されることがありましたが、いつでも議会を開ける状態になったことで、議会の議決を経る運用が定着しました。執行部側にも「議案を整えて議会に諮る」という運びが根づいてきたとの説明がありました。
通年議会には、一事不再理(同一会期中に議決した事件と同一の事件は提出できない)という論点があります。会期が1年になると、1年間は再提出できないことになりかねません。枚方市議会では、先行して導入した議会の例を参考に会議規則を改正し、「同一会期中」を「同一議会期間中」に改めることで、年4回の定例会と同じ扱いを維持しています。会議日数の増加による事務量の懸念も、実際には数日程度の増にとどまったとのことでした。
毎年3月末には、国の法改正に伴う市税条例の改正が生じます。市長への専決処分に委ねる自治体もある中で、枚方市議会は「国が決めたことだからといって議会に諮らないのは違う」という議論を経て、現在の運用を維持しました。3月31日、参議院での可決を確認してから議会運営委員会を開き、その日のうちに本会議で議決する——今年は午後5時5分ごろの可決を受け、5時31分から議会運営委員会、5時40分から本会議という運びだったと伺いました。
質疑応答の内容は、視察時の聞き取りに基づく要約です。
全国の先進自治体に学び、三郷市の政策に活かします。他の視察レポートもご覧ください。